富良野における地中熱ヒートポンプ暖房の取り組み

はじめに

当社では、2004年より地中熱ヒートポンプ暖房システムの取り組みを始めております。
06年1月現在、3棟の住宅及び店舗での実績があり順調に稼働しております。
今はまだ手探り状態で施工しておりますが、今後も充分な調査・研究を重ねより低価格で効率の高い暖房システムを構築していきたいと考えております。

では、この地中熱ヒートポンプ暖房システムを順に説明致します。

地中熱ヒートポンプ暖房システムのしくみ

地下は10mも掘ると通常、その地中温度は年間通じてその土地の平均気温+2℃程度に保たれていると言われます。ここ富良野地域でも約12℃程度で安定しています。地中熱による暖房システムは、この地中温度を自然エネルギーとして利用します。どんな場所でも安定的に手に入れられる自然エネルギーで、その熱を活かすことにより、少ない消費電力で何倍もの暖房エネルギーを作り出すことができます。また化石燃料の消費や地下水を汲み上げることが無いため、自然環境に負荷を与えるCO2の排出量も削減でき、省エネ性や経済性など環境にも暮らしにも優しいシステムです。


さて、次にこのシステムの特徴である省エネ性や経済性などの話をさせて頂きます。

環境へのメリット

地中熱暖房システムは灯油暖房機に比べるとCO2の排出量を約1/3程度に抑えることができます。年間で3tものCO2が削減でき、これをもし植林によって同量のCO2を削減するためには5百坪程度の土地に1、500本もの苗木が必要になります。最近よく話題にあがる京都議定書の目標達成のためには、いわゆる化石燃料の使用抑制を図り、燃料電池、自然エネルギー、自然再生エネルギーの導入が急務であり、さまざまな判断基準が経済的原則だけでは語れない時代になりました。

経済性へのメリット

 ・ランニングコスト

このシステムの1番の特徴にランニングコストの安さが上げられます。地中から熱を引き上げるために稼働するヒートポンプには電力が必要ですが、電気エネルギー1に対し地中熱エネルギーを3ものエネルギーを汲み出すことができます。

ここで、さまざまなエネルギーの単位熱量あたりのコストを算出し大まかな料金を比較してみましょう。(単価については05年12月現在)

   灯 油  
灯油1リットルの持つ燃焼エネルギーは10.2Kwhあります。その燃焼エネルギーはすべて温水等に変換されるわけではありません。ボイラーで温水を作る場合エネルギーロスが発生します。CO2の排出に伴う熱損失があります。

その熱効率を80%とすると 灯油のエネルギーは8.0Kwh/リットル程度となり、灯油コスト70円/リットルと仮定すると          1Kwhの熱量を得るためには、8.75円ものコストが必要です。
   電 力  
1Kwhの熱量を得るためには、1Kwhの電力を購入する必要があります。昼間にこれだけの電力を購入すると約30円近くのコストがかかりますが、深夜電力ですと1Kwhあたり6.40円程度のコストで済みます。しかし深夜電力利用の蓄熱暖房機は、前日に蓄熱量を決定するため過剰に蓄熱する傾向(熱のためすぎ)があります。そのため若干のロス率を考えなければなりませんので、1Kwhあたり7.0円程度と思われます。またホットタイム22等の融雪電力を使用する電気オイルヒーターはリアルタイムでの温度制御も可能です。単位料金も1Kwhあたり8円弱と低価格ですが、契約Kw数が多くなるため基本料金の額が料金に大きく影響します。

   地中熱  
ヒートポンプにより地中から熱を採取するためのコストは、地中温度や地質、地下水の有無、採熱温度や放熱温度等さまざまな条件により違いがありますが、1Kwhの電力によって最大3Kwhの熱量を得ることができます。この時に使用する電力は昼夜を問わず必要になりますので深夜電力では充分な対応ができません。そのため地中熱ヒートポンプの稼働は融雪電力(ホットタイム22ロング)にて契約をします。

融雪電力(ホットタイム22ロング)の単価は1Kwhあたり7.51円ですので、1Kwhの熱量を、約2.5円のコストで得ることができる事になります。また基本料金も契約Kwも少なくてすみます。

基本料金を含め、3.0円程度と思われます。

    以上の算定から、1Kwhの熱量を得るためには

      灯 油   8.75円/Kwh

      電 力   7.00円/Kwh

      地中熱   3.00円/Kwh

    程度のコストが必要です。

ですから地中熱暖房のランングコストは灯油の1/3程度で済みます。

では、北海道の住宅は1シーズンでどれくらいの熱量が必要なのでしょうか?

住宅の床面積や断熱使用の差、立地条件でも違いはありますが、省エネルギー住宅工事(次世代型)の年間暖冷房負荷基準で換算すると北海道Ⅰ地域で建設した場合でも、延べ床40坪換算で約14,300Kwh程度の熱量が必要になります。

北海道Ⅰ地域の中でもここ富良野は寒冷地区に入りますので、もう少しの多めの熱量が次世代基準の断熱性能でも必要となります。ここで年間必要熱量を15,000Kwhとした場合の年間コストは

      灯 油   131,250円/1シーズン

      電 力   105,000円/1シーズン

      地中熱    45,000円/1シーズン

                            程度と思われます。

 ・イニシャルコスト

   では、次に地中熱ヒートポンプ暖房のイニシャルコストについて考察しましょう。

灯 油  まずは灯油によるセントラルヒーティングの場合、40坪程度の住宅でパネルヒーター等の放熱機器類、ボイラー、灯油タンク、配管工事費等で一般的に130〜150万円程度の費用が掛かります。

電 気  電気暖房の場合、灯油セントラルヒーティングより若干コスト高になる傾向があります。40坪程度の住宅で150〜170万円程度の費用が掛かります。

地中熱  地中熱暖房の場合、家内の放熱器は灯油セントラルヒーティングとほぼ同じ仕様になります。ヒートポンプ自体とヒートポンプが地中から採熱する分がコストアップします。地質や採熱状況によってボーリング工事費に違いが出ますが、おおまかに言うと約300〜380万円程度の費用が掛かります。

           今現在、灯油暖房に比べ200万円程度のコストアップと言うのが現状です。

     単純にランニングコストで元を取るために掛かる年数は

        200/(13.1−4.5)=23.25年

                           となります。

     しかし現在、地中熱暖房を支援する補助金制度があります。

     NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)では、高効率エネルギーシステム導入促進補助事業として1/3の補助があります。

     もし、地中熱暖房システムに360万円の費用が掛かったとしても、1/3の補助(この場合120万円)があれば

        (200−120)/(13.1−4.5)=9.30年

                         となり10年を切ります。

     またさらに補助金や促進費の可能な場合もあります。

今後の展望

     将来の我々を取り巻くエネルギー事情を予測することは不可能なことだと思います。灯油価格や電力料金が下がることは我々消費者にとって大変喜ばしいことですし、またそれを願わざるを得ません。しかし、現在の原油価格の高騰は国際状況を考えると一過性のものとは思えません。また京都議定書の策定や環境問題への意識変化、また消費税の税率改正等を考えると、今後ますますエネルギーはコストアップするように思えます。

     私はその対策として、

住宅の高断熱化をさらに進める事。

ランニングコストの少ない暖房方式を採用する事。

                が重要だと思います。